2015年11月25日水曜日

第17回「いつか来る死に対して今を生きる大切さ」

11月22日に、第17回みんくるカフェ大分を開催しました。

今回は、「死と生」の2回目。
テーマ:いつか来る死に対して今を生きる大切さ
ゲストスピーカー:医師 山岡憲夫さん(やまおかクリニック院長)
場所:Es+sense

大分でも有数の珈琲が美味しい、大人気のカフェで開催。
今回はモーニングでした!


山岡先生は、在宅医療や緩和ケアを専門にされている先生です。
年間130人以上の癌患者さんを看取っています。
今回は、山岡先生の経験から患者さんのお話、今を生きる大切さ等を聞くことができました。
最も心に残ったのは、末期となり人生の最期を迎えた方の中で、「今が一番幸せだ」と言ってくれる方がいるというものでした。
一つの具体例として出されたあるおばあちゃんの話を紹介します。
その方は若い頃からとても活動的で、お年を召されてからも社交ダンス等々多くの活動をされていましたが、晩年病床に伏すことになりました。
しかし、山岡さんらによる支援の中、孫たちに昔の自分の話を語るといった穏やかな晩年の日々を送る中で、「先生、私は今が一番幸せだよ。ありがとう。」とおっしゃったとのことです。

自らの死を受け入れ、幸せなまま穏やかな死を迎えるというのは理想の死の一つだと思いますが、末期がんという壮絶な状況の中でそう思う方がいる、すなわちそう思えるような医療や支援を行えているということに感銘を受けました。

他には、意外にも晩年を迎えようとする本人自身はそれに気付かずにいるという話もありました。
「家に帰りたい」という願いは「家で最期を迎えたい」ではなく、「家で暮らしたい」という意味であるという言葉は、最近祖母を亡くした私にとってとても共感できました。

山岡さんの手法の一つである、最期であることを気付かせないまま家族に最期の言葉を言ってもらうための、子供には「この子にはどんな大人、人間になって欲しいか」配偶者には「相手を愛しているか」と尋ねる方法は素晴らしいと感じました。

会の最後の、「我々ターミナルに従事する人間はそもそも誰もが持つ死にたくないという願いを忘れてはいけない」という言葉は、将来医師になる私にとって重きを持つ言葉となりました。


ゲストトークの後は、5~6人のテーブルに分かれ、対話をしました。
「末期がんになったら」
・まずは身辺整理をしたい。
ある程度の年齢になったら元気な内からやっておくのもあり?
・身近な人が末期がんになったら
 単なる民間療法でも話に聞いたものでも、色々な方法を試してあげたい。
 それらをすることで、見送る側としての後悔もなくなる。
 そして何より寄り添ってあげたい!
・自分が末期がんになったら
 残すことになる人々への思いと不安(例えば子供)が募る。
 最期には関係の深い人々に看取ってもらいたい!
 そのためにも、今からでも人間関係を大事にしたい。
告知であれば「2,3日の旅行はいいけど、1週間は無理」など、ある程度具体的な線引きが欲しい

「幸せな最期とは」
・先程のテーマとの続きとなるが、やはり寄り添われ看取られるのが理想。

自分の人生に満足して後悔のない状態で最期を迎えたい。
・生前葬という選択肢もある現代において、「自分の死の準備というのは、幸せな最期を迎えるための最低条件の一つなのかもしれない」という意見が出ました。その上で、今「死の教育」が時代に求められている野かもしれないと感じた。

参加者さんよりメッセージを頂きました。
今回は目頭が熱くなるようなイベントでした。とても勉強になりました。長い間死と向き合っておられる先生の話をこんな間近で聞けたのは本当に貴重でした。私も親族を癌で亡くしていますので、先生のお話は心に深く響くものがありました。
そして、いろんな立場の方たち(現役の看護師さん、医学生、施設で働く方、医学部を目指す高校生etc)と“死”について話し合うことが出来たのもとても興味深かったです。“死”について考えると、自然と深く“生”のことを考えるようでした。みなさん、ご自分の思っていることを真剣に言葉にしていました。今回のテーマは言葉に出すのがなかなか難しかったと思うのですが、いざ言葉に出して出力してみると、はっと気づかされることがあったように思えます。
これから、もっと普段の生活の中で、自分や親、妻などがもし大病にかかったときにどう生きたいか?どう死にたいのか?話し合っておくべきだなと感じました。
先生は死の教育とおっしゃっていましたが、本当に大切なことですね。
参加できてよかったです。


次回は、12月13日です。「死と生」の第3回目。
1回完結型ですので、もちろん今回参加できなかった方も参加OKですよ!
テーマ:仏教からみた「死」と「生」と医療者からみた「死」と「生」~
日時:12/13(日)10:00~13:00
場所:ENGAWA Cafe Frogeye(大分市顕徳町1丁目13−17)
ゲストスピーカー:松本量文(天台宗 僧侶:まつもと歯科医院 院長)
参加費:1000円(ランチ付)

参加希望の方は、minclecafeoita@gmail.com まで
お名前、当日緊急用の電話番号をお送りください。

皆様にお会いできることを心より楽しみにしております。

今回お世話になったカフェはこちら
Es+sense  http://tabelog.com/oita/A4401/A440101/44005032/

2015年11月2日月曜日

第16回 「その人らしい生とは~医療のおける事例を通じて~」

葉の色づきが始まる今日この頃。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。

みんくるカフェ大分スタッフの、えとぅ~です。

10/31(土)に、「第16回みんくるカフェ大分」を開催しました。
第6クール「死と生」
第1回目「その人らしい生とは~医療のおける事例を通じて~」
ゲストスピーカー:岡江晃児氏(国立病院機構大分医療センター ソーシャルワーカー)

今回も、大人の隠れ場「Frogeye」さんで開催させて頂きました。

ハロウィーン!
ということで、受付では、「Trick or Treat!」と言って頂いた方に、お菓子をプレゼントしました。

ゲストスピーカーである、岡江さんみんくるカフェ大分の常連さんの1人です。
今回は、いつもと異なり、岡江さんのお話の合間で、テーブルでの対話の時間を作るという形でした。

私の目線で、岡江さんの話やテーブルでの対話を書きます。


まず、自己紹介とソーシャルワーカーについて。
大分医療センターで、ソーシャルワーカーとして、10年以上勤務。
年間1000件近くの相談に乗るそうです。

ソーシャルワーカーは、まだまだ日本での認知度は低いですが、wikipediaによると、
ソーシャルワーカーとは、「生活する上で困っている人々や生活に不安を抱えている人々、社会的に阻害されている人々に対して、関係を構築し、問題解決のための援助を提供する専門職」です。
病院での「メディカルソーシャルワーカー」や、学校での「スクールソーシャルワーカー」は、最近よく耳にします。
「こういう制度がありますよ」と制度を使って人々を支援したり、「癌サロン」を開いて、癌患者さんの思いを共有したり。様々な制度や手段で、人々・社会に働きかけます。

岡江さんの経験した1人の患者さん(Aさん)のお話。
高齢男性で生活保護の方が、お店で倒れ救急搬送。今日には亡くなるという緊急の状態でした。
だが、身寄りがない。
1st対話 「あなたが医療側ならどうする?」
行政に身寄りが本当にいないのか確認する。葬儀はどうしよう?などなど・・・。

このような場合、岡江さんが来る前は、
1,病院が行政に葬儀依頼をする
2.葬儀屋が病院に来る
3.病院側はお見送りをする
で終わりでした。

2nd対話 「あなたはどう感じますか?」
このまま亡くなるのは悲しい。葬儀に誰も付いてくれないなんて・・・。

先ほどの対応でも、病院側としては悪くないと思います。患者さんは1人で亡くなることを希望していたかもしれません。
でも、それは、なんだか「寂しい・・・」。

岡江さんは、患者さんが身に付けていたあるメモを見つけました。
そこには、いくつもの名前と電話番号が書いていました。
もしかして!と思い、岡江さんは、電話しました。
「現在使われておりません・・」「現在使われておりません・・・」
4件目でやっとつながりました。
「○○さんが働いていた会社のものです。○○さんには多くの写真がお世話になっていました・・・。」
なんと、患者さんが昔働いていた会社の社長さんでした。
会社の方々は、遺品の整理、葬儀にも来てくれました。

他にも2人つながりました。
福岡の知人。「障害を持っていて行くことはできない。」と最初は言われました。しかし、Aさんの状態を度々話していると、夕方には来てくれました。
姉(東京)。「20年も会っておらず、申し訳ないが行くことはできない」と言われました。 この言葉を聞き、岡江さんは、「行ける!」と感じたそうです。
”申し訳ない”と思っている方なら、本当は”来たい”という気持ちがあるはず。
「○○さんとは昔から疎遠だったんですか?」
「いやいやそんなことはないですよ。昔はこんな子で・・・」
お姉さんにAさんの思い出を語ってもらい、お姉さん自身にAさんへの気持ちを思い出してもらう。
すると、東京からなんと大分まで来てくれました。
葬儀では、多くの方に囲まれました。

3rd 「この人の死と生をどう感じる?」
お姉さんや知人、社員の方々に囲まれ、Aさんは幸せだったと思う。
葬儀って実は生きている人のためにあるのか?

最後、骨壺はお姉さんが持ち帰ることになりました。

岡江さんの話を聞き、ソーシャルワーカーの仕事を知り、そして、「死と生」について皆で感じる場となりました。

ランチタイムでも対話は止まらず、楽しい時間を過ごすことができました。


次回も「死と生」をテーマに開催します。

第17回「みんくるカフェ大分」
日時:11月22日(日)9:00~11:00
場所:Es+sense (大分市葛城1093)
参加費:1000円(朝食付き)
ゲストスピーカー:医師 山岡憲夫さん(やまおか在宅クリニック 院長)

参加申し込みは、
minclecafeoita@gmail.com まで
・お名前
・緊急連絡先の電話番号
をメールして下さい。

皆さんとお会いできることを心よりお待ちしております。

今回ご協力頂いたFrogeyaさんはこちら

みんくるカフェ大分のfacebookページはこちら

















2015年9月29日火曜日

第15回「薬」~抗うつ薬の今~

みんくるカフェ大分スタッフのえとう~です。


7月に「第15回みんくるカフェ大分」を別府「バレーナ」さんで開きました。

テーマ 「薬」~抗うつ薬の今~。


・ゲストトーク
・5~6名毎のテーブルでの語り合い
・ランチ
の順で行いました。

 今回のゲストスピーカーは、
大分大学医学部薬理学教室、教授の石崎さんと、
薬剤師の中島美紀さん(キムラ薬局)の豪華2代キャストでした。





 街の薬剤師さんと、大学教授がコラボするという異色の会。



みんくるカフェ大分ならではの、社会と大学が交わる会でした。


中島さん
「薬剤師法に、薬剤師の仕事は、”国民の生活を確保する”と書いている」
「患者さんと距離が近く、例えば抗うつ薬を飲んでいる患者さんの顔色などもチェックできる。この薬が効いているか分かる。」
「薬剤師は薬の何でも屋さん。薬で困ったら何でも聞いて。」
Drには、カバーできない部分を調剤薬局の薬剤師さん達がカバーできるのではないかと思いました。



石崎さんのお話
「うつ病には色々な薬が出ているが、原因は”分かっていない”。」
「うつ病の薬の難しい点は、効果が出るまで2週間かかり、気分が正常になるまで1年以上かかる。他の薬と違って長く飲み続けないと効果が分からない。」
「数年前に、麻薬で使われる”ケタミン”を低濃度で使ってみると、うつの状態から解放され、なんと数時間で効果が出るとの結果に。ただ、麻薬なのでなかなか難しい。」
「1か月前の医学雑誌より。ストレスを加えたマウスは、好きな砂糖水を飲まなくなったという結果に。ストレスを加えると、興味・喜びの喪失=うつ状態になるのでは!!!」
「楽しいという刺激が興味・喜びの改善に!!」
「ケタミンのように薬の開発(お金)も大事だが、原因究明も必要不可欠。ここを大切にしないと。」




テーブルでは、「うつにならないようにするには」などなどたくさんの話をしました。
「楽しいと思える引き出しを増やすこと」
「ハードルを低くするのが親の仕事ではなく、よいタイミングで誉めることが大事。仕事場でも同じ」
各人のうつ病の体験や身近な方のうつ病の経験など、多くの話を伺うことができました。


たっぷり話した後は、お待ちかねのランチ!
「バレーナ」さんの絶品ランチを堪能しました。







 大学に学生として通っている私個人としては、
最後の石崎さんの挨拶が特に印象的でした。
「大分大学では、編成により、僕ら世代の教授が増えてきております。地方大学では、もっと自分たちがしていることを社会に示す必要が出てきました。これは、我々教員が変わらなければいけないです。皆さん、大学を見捨てないで下さい。新しいことを得ましたら、ぜひまた伝えに来たいと思います。今度はぜひ私の研究分野を話させてください。」
と言い、深くお辞儀をしました。

 街の薬剤師さんと、大学教授がコラボし、そこに集まった様々な方々がお話するという今回。
今回も素敵な会になりました。


さてさて、
次回は、10月31日(土)テーマ「【死と生】その人らしい生とは~医療のおける事例を通じて~」
ゲストスピーカーは、ソーシャルワーカーの岡江晃児さんです。
お楽しみに!


今回お世話になった、「バレーナ」さん
http://r.gnavi.co.jp/773ja6sa0000/


みんくるカフェ大分へのお問い合わせはこちらまで
minclecafeoita@gmail.com